X-Men Origins: Wolverine (2009)

X-MENの映画シリーズが第3部をもって完結して久しい。ブライアン・シンガーが逃亡した第3部はいつ見てもグダグダな映画で、そこがなかなか味わい深くもあるのだが、まあしかしもうちょっとどうにかならなかったのかと思う。何が問題だったかといってやはり、無闇やたらにゾロゾロと登場するミュータント軍団のキャラクターが全然描けていない点だった。そうやって何の役にも立たない人物を次々投入するものだから、ただでさえ散漫なストーリーがさらにバラけることになる。そんなこんなで主役級のサイクロップス(眼鏡)は序盤でいきなり死亡、最重要人物というべきプロフェッサーX(ハゲ)も中盤で死亡、というあまりに乱暴な筋立てには開いた口が塞がらなかった。まあしかし原作のX-MENシリーズからしてアホみたいに沢山のミュータント・ヒーローや悪役が登場するから、これをバカ正直に映画化すればとっ散らかるのが当たり前といえば当たり前なのかもしれない。

そういえばあまりにもミュータントの数が増えすぎて収拾がつかなくなったのか、原作界隈では数年前ある重大事件が起こり、地球上のミュータント人口は数百万から一気に198人に減る。198人以外のミュータントはそのXパワーを失って、普通あるいは普通以下の人間になってしまったのだった。こ、これは大変なことになった!と俺は5秒ぐらい固唾を飲んだが、ウルヴァリンサイクロップス、ストームといった人気ミュータント・ヒーローたちの超能力は健在だったので、冷静になって考えてみれば大勢に影響はなかった。まあそれはいい。

劇場版X-MENシリーズはとりあえず完結したが、マンガ映画の黄金時代はまだまだこれからっぽい。ということで現在鋭意製作中なのが『X-Men Origins: Wolverine』で、これはX-MENに合流する以前のウルヴァリン、その冒険を描くという企画だという。ウルヴァリン、本名ローガンといったら第1次世界大戦の前から生きているという長生きさんだ。歴史の裏舞台にはいつもローガンがいた!というシリーズで毎年盆と正月に映画をやってくれると実に楽しいのだがどうだろう。
ガリポリ上陸作戦に参加するローガン
ノルマンディ上陸作戦に参加するローガン(どうやら今回、本当にそういうシーンがあるらしい。下の写真参照。ちょっと気が利いている)
・持ち前の超回復能力でアウシュビッツを普通に生き抜いてしまうローガン
あさま山荘に殴り込みをかけるローガン
蘇我入鹿を暗殺したのは実はローガン
とまあいろいろ夢は広がるが、どうやらそういう楽しい一発ネタの映画ではないらしい。ということはちょっと昔の回想なんかをちらほら挟みつつウルヴァリン誕生の秘密に迫る的な、何となく散漫なストーリーが展開されそうな予感がする。そしてまたよせばいいのに愉快なミュータント軍団が大量投入されるという。一線級二線級を問わず登場予定のミュータント・キャラクターはいま現在分かっているだけでも9人。中には劇場版X-MEN第1部に登場して殆ど何もしなかったセイバートゥースや、90年代のX-MENコミックでは人気者だったガンビットなどの名前も挙がっているものの、まあ1人あたり10分弱ほどの出番があるかないかだろう。新しいニュースを聞くたびに何というかこう薄味な仕上がりが予想されてならない。ということで来年5月の公開が楽しみになってきたなあ(棒読みで)。