突っ込め拳骨

ご無沙汰しております。

去年あたりから何とかいうビールのコマーシャルが不快で仕方ありません。
これが何というか、どうにもピリッとしない感じの女優が何とかいうビールを冷やして亭主の帰りを待っているという、まあ非常に紋切り型にして低劣と言うほかないコンセプトで作られた広告であります。またこのパッとしない感じの、にせ壇ふみみたいな女優が変なざっくりしたセーターとか着て長いスカートとか履いている。たとえばアンジェリーナ・ジョリーがパンツ一丁で待っていると聞けば今すぐ走って帰りたくもなるが、しかしこんなモッサリした女が変なゾロッとした格好で待つ家に誰が帰りたいだろうか。まったく色気もヘッタクレもない。やる気あんのか!しかもよく見れば変な白いエプロンというか前掛けして待っていることもあるのだ。今時そんな奴いねえよ!サザエさんかお前は!
しかも最新のスポットでは、このパッとしない女がバカ丸出しの喋り方で今日の晩御飯は何食べたいですかー、とか聞いてくる。そんなこと言われても、俺は焼肉食って帰るから貴様はそれまでに荷物まとめて出て行け!と答えざるを得ない。しかもこの女が変なブランコとか乗っているのである。木下サーカスかお前は!
とにかくこの、ちょっと天然だけど可愛い女房が待っている世界みたいな、世の男性諸氏はお好きでしょう、そういうの、という決め付けが何しろ我慢できない。お好きじゃねえよ!まあ何というか本当に時代錯誤も甚だしく、実に腹立たしい。しかし敵は所詮テレビなので、そんなものは見なければいいのです。これで問題は解決だ!
と思ったら、この何とかいうビールが電車の中吊りも作っていた。例の田舎っぽい女優が変なセーター着て、上目遣いでこっち見ながらビールなんか飲んでいるという、いつもの世界である。都営新宿線でこれが視界に入ってきて心底ウンザリしたけれども、正直もうこれはこれでいいやと、勝手にやればいいじゃないのと一瞬思いもした。だがやはり、どうあってもこの広告を許すわけにはいかんと俺は思った。だって下のほうを見ると何だか変な文字が書いてあるのだ。どうやら喉を鳴らしてビールを飲む様子を表した擬音のように読めるが、何かもう説明するのも汚らわしい感じなのでとにかくちょっと見てくださいよ奥さん!

すでに十分すぎるほど我慢ならないキャンペーンだったが、これでいよいよ本格的に虫酸が走った。これはいい歳こいた大人が、しかも酒類の広告上で発声すべき言葉だろうか。赤ん坊にミルク飲ませてんじゃねえんだからさあ。これは何ですか、この幼児を思わせる言葉遣いでもってこの女房の可愛らしさを伝えようという魂胆か。気持ち悪いだけだそんなもん!
というわけで純真無垢(と、何とかいうビールのウェブサイトに書いてあった。純真無垢……いい大人が……)かつ可愛い(可愛くねえよ!バカ)女房がビール冷やして亭主の帰りを待っているという、どうにもこうにも陳腐かつ都合のいい妄想だけで不快な広告が、この何というか幼児丸出しのオノマトペによってさらに5倍ほど不快になった。こんなもんが受けると思われているという、俺たちはいったいどこまでバカにされているのだろうか。
とにかくまあ何という銘柄だったか忘れたが、調べて書けばこの何とかいうビールに利することになって実に悔しいから書かない。当然こんなもん死んでも飲まない!男は黙ってサッポロビール!というか忘れたというのは嘘で、実は腹が立つあまり銘柄名もバッチリ覚えてしまい、それもそれで非常にムカつくのです。く、悔しい!