ご無沙汰しております。
ご無沙汰している間にまた『子連れ狼』をひたすら読み返す周期がやってまいりました。その流れで若山先生が熱唱するこんな歌も毎朝毎晩聴いてですね。どうしてこんなに『子連れ狼』に惹かれるのか話せば長いのでまたの機会に譲ります(そう言っておいてその機会はついに来ないのであった それを知る子であった まだ三つであった と、そういうナレーションを入れたくなりますね。『子連れ狼』の話をしているとですね)。しかし最近は便利なもので、英語版も電子書籍で読めるんですね。iPadなどお持ちの方はダークホース・コミックスのアプリを使っていただくと、そこで全28巻がダウンロード購入できますよ。さんざん読んだ挿話ですが、英訳された台詞を読んでいるとまたなかなか味わい深く聴こえるんですね。たとえば写真のこちら、言わずと知れた『虎落笛』ですが
わ
わしの
首が……
哭いている
ように……
き
きこえる……
さ
さすがは
か
介錯人……
血が吹き出し
………………
首袈裟に斬った
斬り口が
…………
木枯しの
ように鳴るを
…………
も
虎落笛と……
言うそうな……
いちど……
そんな音が出る
ように斬って
みたいと願っては
いたが……
お
おのれが
斬られて
………
鳴るは……
笑止
……
という、劇場版『三途の川の乳母車』(72年)でもほぼそのまま再現された、歴史に残る名台詞がですね。
虎落笛は"Flute of the fallen tiger"というのか、なんて発見があったり、
または
"I always dreamed of making a cut that would sing...
And now...
I hear my own...
Such irony..."
なんていうのは原作の殺伐感と寂寥感を非常にうまく捉えた名訳だと思いますね。
そんなわけで英語版もお勧めです。Amazonなんかでは単行本もまだ買えるんじゃないでしょうか。フランク・ミラーなんかがたいへんに影響を受けたということで有名な『子連れ狼』ですが、こちらのバージョンを読んでいるとどういう影響であったのかがボンヤリ分かるような気もしてきます。そんなわけでもう一度、若山先生の名曲を聴きながらお別れしたく思います。次回までご機嫌よう!